梅ヶ丘産婦人科の理念・治療方針

梅ヶ丘産婦人科の不妊治療とは

  • 梅ヶ丘産婦人科の不妊治療は

    「負担の少ない、最小限の治療による、できるだけ自然に近い妊娠を目指します」
    「患者さま一人一人に合わせた適切な体外受精を行っていきます」

梅ヶ丘産婦人科の不妊治療とは

当院の不妊治療では、「負担の少ない、最小限の治療による、できるだけ自然に近い妊娠」を目指しています。2022年4月より不妊治療が保険適用化され、以前と比べ患者さまの費用負担が少なくなったことから、最初から体外受精を選ぶ方も増えています。しかし、実際には人工授精までの治療(一般不妊治療)でも妊娠が可能な方は多くいらっしゃいます。当院では基本的な検査をしっかりと行い、女性の排卵や卵管・ホルモンの状態、男性の精子の状態、子宮の中で精子が動けているかなど、一人ひとりの状態をしっかりと見極めた上で、治療段階を適切に高度なものへと上げていく「ステップアップ方式」を取り入れています。これにより、それぞれのカップルにとって必要最小限の治療で妊娠することが可能となります。

当院では1991年から体外受精(顕微授精を含む)を開始し、日本の体外受精を行う施設の中で草分け的な施設になります。また、男性不妊治療のエキスパートである医師による「男性外来」も院内で実施しており、当院において体外受精のほぼすべての治療をお受けいただくことが可能です。一般不妊治療から体外受精へとステップアップされた方については、その患者さまについての卵巣の機能や排卵の時期や薬剤への反応性などがわかっていることから、最も患者さまにとって適した卵巣刺激法を行うことができます。患者さまに最も適した卵巣刺激法を行うことにより、結果的に必要最小限の採卵回数でご妊娠いただくことが可能になります。

体外受精をご希望されていらっしゃった患者さまは、生殖補助医療の第一人者による最先端の検査・治療をお受けいただけます。当院には1万8千件以上の採卵実績、および日本に800名しかいない生殖医療専門医のうち6名(常勤3名、非常勤3名)が在籍しており、また、ご希望に応じて院内で臨床遺伝専門医・婦人科内視鏡技術認定医といった遺伝・手術の専門家にご相談いただくこともできる環境を整えています。

当院では来院されたカップルの59%、現在までに2万名以上の方が妊娠されており、当院での治療は皆さまのご期待に沿えるものと考えています。2022年4月からの不妊治療の保険適用および先進医療、着床前遺伝学的検査(PGT-A、PGT-SR)、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリング、婦人科内視鏡技術認定医による手術相談、認定心理士によるカウンセリングや看護師による無料相談、二人目不妊の方のための「おやこルーム」など、あらゆる面で患者さまの不妊治療をサポートしています。 皆さまのお越しをお待ちしております。

初診をご検討されている方へ

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当院は完全予約制になります。 初診については、患者さまの現在の状況(ご年齢や不妊治療歴、男性不妊外来のご希望など)をお聞きしたうえで、ご予約を取らせていただきます。お手数ですが、まずはお電話にてご相談ください。 TEL:03-3429-6036

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妊娠を希望しているカップルのうち、半年で80%の方が、1年で90%の方が妊娠できるといわれています。しかし、何らかの不妊となる原因があれば、時間をかけても妊娠できるわけではありません。女性の年齢が35歳以上で、3ヶ月〜半年妊娠しなければ、まずは受診して検査を受けることをおすすめします。また月経が不規則な方、強い生理痛がある方、お腹の手術を受けたことがある方、性感染症にかかったことがある方、子宮内膜炎や卵管炎になったことがある方はとくに早めに受診されることをおすすめします。また、これから妊娠を考えようと思っているけれども、どうすればよいかわからない方にも、経験豊富な医師がしっかりとサポートし個々に必要な検査・治療を行っていきます。

精液検査・男性不妊外来をご希望の方、はじめから人工授精、体外受精を考えている方、他院からの転院をご希望されている方もご相談ください。当院では保険医療・自費医療のどちらでも不妊治療を行うことができます。

当院では女性の年齢が40歳以上であっても、必ず体外受精をお勧めしているわけではありません。40歳以上でも、タイミング法や人工授精で妊娠される方も多くいらっしゃいます。今まで体外受精を続けてきたけれど結果が現れず、ステップダウンした不妊治療に挑戦してみたいという方もご相談ください。

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当院は1998年から不妊専門の病院として一般不妊治療(タイミング法と人工授精)から体外受精・顕微授精まで行い、現在までに20,000人を超える方に妊娠していただいています。2021年にはちょうど1,000名の方が妊娠されました。治療法別の妊娠成績は、自然妊娠が41人、タイミング法による妊娠が285人、人工授精による妊娠が201人、体外受精/顕微授精などの生殖補助医療による妊娠が473人でした。妊娠された方の半数弱が生殖補助医療による妊娠、半数強がそれ以前の治療による妊娠でした。
生殖補助医療では、採卵数が929件、胚移植数が1304件ですので、単純計算では採卵された方の50.9%、胚移植された方の36.3%が妊娠されたことになります。
詳細は、梅ヶ丘産婦人科の歴史と実績をご覧ください。

当院のの歴史と実績

当院への来院後の主なスケジュールについてお示しします。

初診時

健康保険証をお持ちになり受診いただきます。初診時には必ずしもご夫婦でいらっしゃる必要はありません。ご主人が来院される場合や精液検査などを行う場合にはご主人の健康保険証もご持参ください。人工授精や体外受精を保険で受けることを希望されている方は、治療を行う前に一度ご夫婦で来院していただき、医師と治療計画を立てて治療計画書を作成する必要があります。
基礎体温表や紹介状をお持ちの方は当日持参してください。
初診日は来院からご帰宅までおよそ2時間必要です。月経の時期に合わせる必要はありませんので、来院可能な日にお越しください。
当院で不妊検査・治療を完全初回でお受けになる方には以下のようなステップアップ方式で治療を行っていくことをご提案しています。

STEP1 検査

当院では、基本的には来院された方に一通りの不妊検査を行い、まずは不妊原因がないかどうかを調べていきます。最近他院にて検査を行われた患者さまについては、適宜必要な項目のみ検査を行います。目安として来院から1ヶ月半のうちに検査を終わらせることを目標としています。 検査にて原因が判明した場合にはその治療を行い、原因不明の場合にはタイミング法を行います。また、原因不明不妊は、不妊原因がないわけではなく、現在の医学では不妊原因を特定することができないものです。不妊検査の詳細については以下をご参照ください。ステップアップの時期については女性の年齢にもよりますので、下の項をご覧ください。 検査についてはこちら

STEP2 タイミング法

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適切な時期にタイミングをとれるかどうかで、最大で妊娠率が5倍も異なってくることが知られています1)。いまでは基礎体温だけでは排卵日を特定することはできないことが証明されており、基礎体温やアプリをもとに実際の排卵日と異なる日を排卵日だと思い込んでいる方も多くいらっしゃいます。当院で行うタイミング法では、超音波と排卵検査薬を組み合わせて正確な排卵日を調べることで、妊娠できる可能性を飛躍的に向上させます。また、頸管粘液の性状を確かめることで、実際に精子が子宮内に入れているか、動けているかどうかを確認します。
このようにして、毎回の排卵日に妊娠のチャンスがあるようにタイミング法を行っていくことを目的とします。当院では実際にこの段階で不妊で悩まれる多くの方が妊娠されています。

1) David B et al. Hum Reprod 2002:17(5):1939-1403

STEP3 人工授精

タイミング法で数ヶ月妊娠しなければ、通常の夫婦生活では解消できない不妊原因があると考え、次のステップ「人工授精」に移ります。初めから人工授精を選んでいただくことも可能です。人工授精では、タイミング法に比べて妊娠する確率が2倍になるといわれています。また、排卵日付近に夫婦生活を行うことが心理的な負担になる方も良い適応になります。
私たちは、人工授精は妊娠に対して非常に有効な手段であると考えています。当院では今までの実績から、体外受精を用いなくても人工授精までの一般不妊治療で妊娠できる方が実際には多くいらっしゃることがわかっています。人工授精についてはこちらをご覧ください。
人工授精についてはこちら

STEP4 体外受精/顕微授精

人工授精で妊娠しない場合には生殖補助医療(体外受精や顕微授精)に移っていきます。初めから体外受精を選んでいただくことも可能です。当院では個々の患者さまの卵巣の機能や排卵の時期、薬剤への反応性などを考慮して、その患者さまにとって最も適した卵巣刺激法を行っていきます。この方法により、必要最小限の採卵回数でご妊娠いただくことが可能になります。また、受精法については精子の状態を見ながら判断していきます。体外受精/顕微授精については以下をご参照ください。 体外受精・顕微受精についてはこちら
梅ヶ丘産婦人科における不妊治療の流れ(ステップアップ方式) STEP1 STEP2 STEP3 STEP4 基本検査 その他の検査 人工授精 体外受精・顕微授精 原因に対する治療およびタイミング指導 タイミング指導 原因判明 原因不明
  • STEP1検査

    まず当院では、来院された不妊患者さまに一通りの検査をして、原因を調べます。皆さんは検査すればほとんどの場合原因がわかると考えておられるかもしれませんが、実際には原因不明という場合も非常に多いのです。

    検査についてはこちら
  • STEP2タイミング指導

    さて、原因がわかった場合には、原因に対する治療を行います。そして、その治療と並行してタイミング指導(いつが排卵日か調べ、その少し前から排卵日の間に夫婦生活をしてもらう)を行います。原因不明の場合にはタイミング指導のみを行います。妊娠するためには排卵日の少し前~排卵日に夫婦生活をする必要があります。

    ところが不妊患者さまは、

    • 排卵障害などにより自分で排卵日を予測できない場合が多い
    • 頚管粘液などの問題で妊娠可能な日が少ない場合が多い
    • 性交回数が減っている場合が多い
    • 実際と違う日を排卵日と思いこんでいる場合が多い

    ため、排卵日頃にうまく夫婦生活ができていないことが多いのです。そこで、すべての排卵日に妊娠のチャンスがあるようにタイミング指導をするのです。この段階ですでに多くの方が妊娠されます。

  • STEP3人工授精

    これで半年妊娠しなければ、通常の夫婦生活では解消できない不妊原因があると考え、次のステップ「人工授精」に移ります。人工授精では、通常の夫婦生活に比べて妊娠する確率が2倍になると言われています。

    人工授精についてはこちら
  • STEP4体外受精/顕微授精

    人工授精で妊娠しない場合には体外受精や顕微授精に移ります。精子が良い場合には体外受精を、精子の状態が悪い場合には顕微授精を行います。 体外受精/顕微授精については、「当院の体外受精・顕微授精」の項に詳しく書いていますので参考にして下さい。

    体外受精・顕微受精についてはこちら

ステップアップの時期

当院では、基本的な検査で異常を認めない場合には、以下の方針でのステップアップをお勧めしています。なぜ年齢別で治療法が異なるかについては、当院の実績をご覧ください。

  • 34歳以下の方では、タイミング法6周期→人工授精6周期→体外受精/顕微授精
  • 35~39歳の方では、タイミング法3周期→人工授精3周期→体外受精/顕微授精
  • 40~42歳の方では、早めに体外受精/顕微授精へ
  • 43歳以上の方では、体外受精/顕微授精を行っても出産率は低くなるため、必ずしも体外受精/顕微授精をお勧めしてはいません。ただ、43歳以上でも卵巣の中の卵子の残りの個数が多い方は卵子が多く採れる可能性があり、体外受精/顕微授精をお勧めしています。ご希望の方には自然周期で採卵を行うこともできます。
  • 年齢が若くても卵巣の中の卵子の残りの個数が少ない方は早めのステップアップをお勧めします。
  • ステップアップの時期は、最終的にご夫婦に決めていただいています。

当院の特徴

「日本の生殖補助医療(ART)の指導的立場にいた医師の外来」

指導的立場にいた医師の外来

当院では2019年4月より、国立成育医療研究センター不妊診療科長の齊藤英和先生を梅ヶ丘産婦人科ARTセンター長として迎えました。
齊藤先生は米国留学帰国後、山形大学体外受精チームのチーフとして、当時京都大学体外受精チームのチーフをしていた院長と日本最高の臨床成績を競っていた間柄です。その後山形大学助教授を経て国立成育医療センターの初代・不妊診療科診療科長として難治性不妊症の臨床や後進の教育にあたり、内閣府や日本産科婦人科学会、日本生殖医学会の要職を歴任し、日本のすべての生殖補助医療のデータ登録、解析の総責任者を務めた、日本の生殖補助医療(ART)の第一人者です。

「男性不妊外来」

男性不妊(男性へ)

2003年から、元日本生殖医学会会長、独協医科大学埼玉医療センター病院長、泌尿器科の主任教授などを歴任された岡田弘先生に男性不妊の診療をお願いしています。わが国では、男性不妊専門の生殖医療専門医は50人に程度といわれており、岡田先生はその草分けともいえる存在です。不妊の原因は男女半々の割合であり、当院では女性だけでなく、男性もできるだけ早い段階で治療をスタートすることができるよう、体制を整えています。

「JISART認定の不妊治療専門クリニック」

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当院は日本生殖補助医療標準化機構(JISART)に属しています。JISARTは生殖補助医療の厳しい実施規定を作り、それを遵守することにより治療のレベルを上げ、安全性を高めることを目的としており、当院は3年ごとにJISARTが行う審査にパスしています。JISARTの実施規定の内容はJISARTのホームページからご覧になれます。

梅ヶ丘産婦人科の歴史と実績

梅ヶ丘産婦人科の実績・簡単な歴史

当院の始まりは1958年、地域の産院としてこの地に開業しました。以来、地域の産院として年間500件あまりの分娩を取り扱ってきました。また、1991年に現院長が着任し、1998年から現院長の専門を生かした不妊専門の病院へと生まれ変わり、現在までに20,000人を超える方に不妊治療で妊娠していただいています。

ここからは、当院が不妊治療をはじめた1991年から今までのデータベースをもとに、実際にどの年代の方にどのような治療法が勧められるのかを科学的にみていきましょう。

基本的に、タイミング法→人工授精→体外受精(顕微授精を含む)へステップアップするごとに自然な妊娠からは遠ざかり、かつ通院回数・時間的な制約・身体への負荷・費用などが増えていきます。今は不妊であるという理由だけで、すぐに体外受精(顕微授精を含む)へ移行することも多くなりましたが、15年前まではまだまだ一般不妊治療(タイミング法と人工授精法を合わせたもの)が治療のメインであり、どうしても必要ではない限り一般不妊治療を行なっていました。

当院のその頃のデータを見ると、年齢別のステップアップを検討する最適な時期がわかります。以下のグラフをみてください。当院で2008年までに不妊治療が行われた8000人を超える患者さまの初診時の年齢と妊娠率のグラフになります。

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34歳以下までの妊娠率は高い値で保たれていたのが、35-39歳になるとグラフの傾きがゆるやかに下降し、40歳以上になるとさらに下がっていくことがわかります。このグラフから、女性の年齢ごとに妊娠に向けてどれくらいの時間の余裕があるかを判断することができます。34歳以下であれば、妊娠まで1年かけてゆっくりとステップアップをしていっても大丈夫ですが、35-39歳、40歳以上と年齢が上がっていくにつれ、妊娠率は下がっていくことから、初診時の年齢が高い場合には早めに妊娠率の高い方法へ移行したほうがよいということがわかります。

次にこちらも同様に2008年まで、体外受精はどうしても必要でない限りは行わなれていなかった時代に、どの治療法で妊娠に到達されたかというグラフになります。

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このグラフを見ていただくと、34歳以下の方の75%以上が人工授精までの一般不妊治療でご妊娠できていることがわかります。また、35-39歳、40歳以上と年齢が上がっていくにつれ、徐々に体外受精の比率・必要性が高くなっていくことがわかります。
必要最小限の治療法で妊娠するためには、あとどれくらい体外受精にする前に時間をかけてよいのか、どこまでで妊娠できなければステップアップすべきなのかというラインをしっかりと引くことです。これらのデータをもとに、当院では以下のステップアップ法を提唱しています。

女性の年齢が34歳以下であればタイミング法と人工授精にそれぞれ半年ずつかけてもよいということになりますし、35-39歳であればタイミング法と人工授精は合わせて半年が望ましいです。また40-42歳であれば初めから体外受精を検討していただく(もちろん先に何周期かタイミング法や人工授精を行ってもよいと思います)ことが、妊娠に向けた一番の早道であると考えてよいでしょう。 次に人工授精にフォーカスして、当院の実績をお示ししていきます。人工授精がどういうものかについてはこちらをご覧ください(人工授精についてはこちら)。タイミング法では妊娠されない場合、ヒューナーテストの結果がよくない場合、勃起・射精障害があるかたには人工授精を行っていきます。人工授精ではタイミング法の約2倍の妊娠率が期待できます。以下のグラフは当院における1万7千回の人工授精を解析し、年齢別に妊娠率を算出したものになります。
当院では35歳未満の患者さまの1回目の人工授精での妊娠率は8.1%、複数回行った際の累積妊娠率は23.5%でした。これらのデータから人工授精は複数回行うことにより、より大きな効果が期待できることがわかります。また妊娠される方や体外受精へステップアップされる方が抜けていくにより、実際に人工授精が行われる回数は2-6回までが多いことがわかります。 人工授精は自然妊娠と同様に卵管が機能していないと妊娠できないことから、卵管の機能が落ちている場合には妊娠は難しい可能性があります。また年齢とともに妊娠率は下がっていくことから、体外受精に進む前にあと何回人工授精を行う時間的な余裕があるかを意識する必要があります。体外受精(顕微授精)であれば、卵管を使わないで妊娠できることから、妊娠率が飛躍的に上がります。ご自身で判断がつきにくい場合には主治医にご相談ください。
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次に体外受精にフォーカスして、当院の実績をお示ししていきます。当院では1991年から体外受精を開始し現在までに1万8千件の採卵を行っており、日本の体外受精を行う施設の中で草分け的な施設になります。体外受精がどういうものかについてはこちらをご覧ください(体外受精についてはこちら)
以下のグラフは当院における受精卵のグレード別の妊娠率を示したものです。

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一般に体外受精の妊娠率は胚盤胞のグレードによって決まります。胚盤胞が受精卵のどのステージか、またグレードの付け方については体外受精の項をご覧ください(グレードの付け方はこちら)。もっともグレードの良いAA胚を移植したときの妊娠率は40歳未満、全年齢でそれぞれ70.7%、67.7%でした。同様に出産率は40歳未満、全年齢でそれぞれ50.7%、47.3%でした。BC/CB胚は単独では妊娠率が低めなので、現在は二個胚移植を行うこともあります(二個胚移植を行うためにはいくつかの条件があり、全員に行えるわけではありません)

また当院では初期胚の移植も行なっています。体外受精/顕微授精の際には基本的に最初に一番良い胚を初期胚で凍結し、残りの胚は培養を続けて胚盤胞になった胚を凍結していることから、当院の初期胚の妊娠率は高いです。最もグレードの良いG1胚を移植したときの妊娠率は40歳未満、全年齢でそれぞれ52.4%、40.4%でした。同様に出産率は40歳未満、全年齢でそれぞれ33.3%、19.1%でした。初期胚移植を行っていない病院もありますが、子宮外の環境に置く期間をできるだけ短くすること、また胚盤胞移植では子宮内膜に着床しづらい方が一定数いらっしゃることから、当院では初期胚移植には意味があると考えています。

実際に凍結できた胚のグレード分布をお示します。必ずしもグレードの高い胚が凍結できるわけではありません。全年齢で見ると凍結した胚のうち、胚盤胞でAA胚は19.2%、初期胚でG1胚は11.6%でした。また、2022年4月から保険適用にもなり、グレードが低いために妊娠の確率がかなり低いと予想される胚は凍結しない傾向にあります。自費で体外受精を行う場合にはこの限りではありません。

また、年齢別に何回採卵すれば妊娠・出産まで至れるかをお示しします。35歳以下の患者さまでは、初回採卵での妊娠率は51.7%でした。また、複数回採卵を行った際の累積出産率は62.9%でした。当院では、必要最小限の治療でご妊娠いただけるよう、個々の患者さまの卵巣の機能や排卵の時期、薬剤への反応性などを考慮して、その患者さまにとって最も適した卵巣刺激法を行っていきます。そのため自然周期のみで採卵を行う場合と比べ、より少ない周期数で妊娠へ向けて進めていくことができます。ただし、患者さまの卵巣の機能によっては自然周期で採卵を行うことをお勧めする場合もあり、周期ごとの卵巣刺激法については主治医とご相談ください。

また、近年では着床しない原因についての研究・理解が進み、移植を複数回行っても着床しない場合には主に胚と子宮内膜のどちらかに原因があることがわかってきました。胚に対しては着床前遺伝学的検査(PGT-A、PGT-SR)、アシステッド・ハッチング、また子宮内膜に対しては子宮鏡検査やERA・EMMA・ALICE検査、高濃度ヒアルロン酸含有培養液などが行われます。このうちのいくつかは現在先進医療として行われています。当院では上記のすべての検査・治療が施行可能ですので、患者さま一人ひとりにあわせてオーダーメイドに必要な検査・治療を行うことができます。これらの検査・治療により、以前は妊娠が難しいと考えられていた方も妊娠ができるようになりました。

最後に年齢が高い、主に43歳以上の方の治療法についてお示しします。女性の年齢が上がると、染色体の本数に変化のある卵子が増え、また卵巣の中の卵子の残りの個数が減ることから、体外受精の妊娠率が低くなります。このため当院では年齢が高いからといって必ずしも体外受精をお勧めしてはいません。おおよそ10個の卵子のうち1個程度の卵子が染色体の数が問題なく発育してきます。毎回1個の卵子しか採卵ができないと、正常な卵子に出会うためには10回の採卵が必要です。現実的には毎周期体外受精を行うことは精神的にも費用的にもかなりストレスが大きくなることから、体外受精を行うことで必ずしも高い妊娠率となるわけではありません。妊娠率の高い体外受精を行っても、元の卵子の染色体の数に異常があると妊娠はできないのです。ここで、人工授精であれば毎周期行うことができます。このため、当院では43歳以上の方は、人工授精を毎月行っていくステップダウンの治療法をお勧めすることがあります。ただし年齢が高くても残っている卵子の個数が多い方(AMHの高い方)は体外受精を行うと採取できる卵子の数が多くなることから、1回の採卵で染色体正常な卵子と出会える確率が上がります。このため、年齢が高くても卵子の個数が多いかたには当院では積極的に体外受精を行なっています。年齢の高い方はまずは一度ご相談ください。

梅ヶ丘産婦人科の実績・簡単な歴史

当院の始まりは1958年、地域の産院としてこの地に開業しました。以来、年間500以上の分娩を取り扱ってきましたが、1998年から二代目である現院長の専門を生かし、不妊クリニックとして生まれかわり、現在までに15,000人を超える方に妊娠していただいています。

実績について詳しくはこちら

院内紹介

  • 受付

    受付

  • 待合スペース

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  • 中待合スペース

    中待合スペース

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  • 内診室

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  • 更衣室

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  • リカバリールーム

    リカバリールーム

  • 採精室

    採精室

  • 多目的室

    多目的室

  • セミナールーム

    セミナールーム

  • おやこルーム

    おやこルーム

受付 待合スペース 中待合スペース 診察室 内診室 更衣室 手術室 リカバリールーム 採精室 カウンセリングルーム セミナールーム おやこルーム

医院紹介

医院名
医療法人社団栄賢会梅ヶ丘産婦人科
診療科目
不妊治療/婦人科
所在地
〒154-0022
東京都世田谷区梅丘1-33-3
最寄り駅
小田急線 梅ヶ丘
駐車場
5台

アクセス・診療時間

診療時間
8:00~13:00
15:30~17:00 -
17:00~20:00 - - -
19:00~20:30 - - - - -

★ 男性不妊外来は水曜 19:00-20:30
休診日 土曜午後・日曜・祝日

ご予約・お問い合わせ

初診専用電話
受付時間
月~金 9:00~17:00
土 9:00~13:00

当院は完全予約制です。初診の方(診察券をお持ちでない方)はお電話にてご予約をお願いいたします。
再診の方はWEB予約または自動電話でご予約ください。(※WEB予約・自動電話は24時間受付可能)