不妊治療は不妊原因によって異なります。
 各不妊原因別の不妊治療法を図に示し、下に解説します。
 ※各治療法をクリックすると対応している解説部分に飛びます。

薬物療法

手術療法
体外受精

手術療法
人工授精
 
体外受精
顕微授精

薬物療法
人工授精
体外受精
手術療法

体外受精

人工授精
体外受精

薬物療法

人工授精

人工授精
体外受精
顕微授精

排卵障害に対する薬物療法

 排卵が起こりにくい場合には、内服薬や注射による排卵誘発剤を用います。よく用いられる内服の排卵誘発剤にはクロミッドなどがあり、注射ではヒュメゴン、パーゴグリーン、フェルチノームPなどがあります。これらの薬により、排卵障害のあるほとんどの方から排卵を起こすことができますが、多胎や卵巣過剰刺激症候群などの副作用が起こることもあります。最近、副作用を心配して排卵誘発剤は使わないで欲しいという方がよくおられます。しかし、排卵が起こらなければ妊娠できません。不妊治療の歴史のなかで、排卵誘発剤ほど多くの妊娠に貢献した治療はありません。また、排卵誘発剤による副作用がおこるのは、ほとんどの場合、多嚢胞性卵巣症候群の方です。治療前に、あるいは治療の途中で、それぞれのケースに排卵誘発剤による副作用がおこる可能性があるかどうかのおおよその予測をたてることができます。また最近では、多嚢胞卵巣症候群の方に排卵を起こす目的で、糖尿病の薬を使うことがあります。

卵管障害に対する手術療法
 卵管がつまっている、卵管周囲に癒着があるといった場合には、主に手術療法や体外受精が行われています。手術療法としては、顕微鏡を使って卵管と卵管をつなげたり、卵管の先を開けたりするマイクロサージェリーや、腹腔鏡を使って卵管周囲の癒着をとる手術などが行われています。いずれも入院の上、全身麻酔をかけて手術が行われます。最近は体外受精が広く行なわれるようになったため、卵管の手術をするケースが少なくなってきています。

体外受精・胚移植法
 1978年にイギリスのエドワーズ博士とステプトー博士によって始められた画期的な不妊治療法で、卵巣から卵子を注射針を用いて採取し(採卵)、体外で夫の精子と受精させ、受精を確認した卵(胚)を、カテーテルを用いて子宮腔に戻す(胚移植)ことにより妊娠を期待する方法です。
 もともとは両側の卵管がつまっている場合に適応された方法ですが、その後、子宮内膜症、抗精子抗体、子宮頚部因子、原因不明不妊、一部の男性因子などに

▲エドワーズ博士と辰巳院長
(H16年6月セローノ・シンポジアで)
写真をクリックすると拡大します。
対しても非常に有効であることがわかり、1980年代には世界中に広まりました。
 この方法により日本でも平成13年末の時点で5万人もの赤ちゃんが生まれています。
 梅ヶ丘産婦人科でも平成3年から体外受精を始め、平成15年末までに2214回の採卵を行い、672人の方が妊娠されています。1回の治療あたりの妊娠率は他の不妊治療法に比べて10倍も有効な方法ですが、排卵誘発剤を使うため、卵巣過剰刺激症候群や多胎がおこりやすい、保険が適応されないため費用が高い(十数万〜数十万円。当院では、外来での注射から胚移植まですべて含めて33万円ほど)などの問題もあります。当院ではすべて外来単位で行っており、入院の必要はありません。体外受精を初めて受けた後の感想は、「思ったほど大変なものではなかった」と言われる場合がほとんどなのですが、まれに「やはり大変だった」とおっしゃる方もいます。
 当院では、通常の体外受精や顕微授精では妊娠の成立しなかった方に、胚盤胞移植、二段階移植、Assisted hatchingなどの方法を行ない、成果をあげています。

人工授精(配偶者間人工授精(AIH))
 精子が少ない場合や原因不明不妊の場合に、少しでも卵子の近くまで精子を運ぶため、精子を子宮腔に注入する方法です。ちょうど排卵の時期に、精液から良好な精子を集めて子宮腔にカテーテルで注入します。痛みもあまりなく、費用も数千円〜2万円位(当院では1万2千円)です。当院のAIHにより平成15年末までに843人の方が妊娠しておられます。

顕微授精
 精子の状態が悪いと、たとえ体外受精により卵子の周囲に精子を送り込んでも、精子が卵子の回りを取り囲んでいる透明帯という殻を破ることができず、受精できません。そこで1989年頃から、顕微鏡下に、細いガラス管を使用して精子を卵に注入し受精させる顕微授精が行われ始めました。顕微授精には、卵の透明帯にガラス管で穴をあけ精子の進入を助ける透明帯開孔術(PZD)、囲卵腔に精子を注入する囲卵腔内精子注入法(SUZI)、細胞質に直接精子を注入する細胞質内精子注入法(ICSI)の三種類がありますが、最近はICSIの成功率が非常に高くなってきたため、ICSIが主流になっています。これまでに日本でも2万6000人もの赤ちゃんが生まれているようです。
 梅ヶ丘産婦人科では、1996年6月から顕微授精を開始し、平成15年末までに1247回の採卵を行い、386人の方が妊娠しておられます。
 また、最近では射出精液中に精子のみられない無精子症の方でも、精巣内精子を用いた顕微授精を行う事により妊娠が可能となりました。この方法により当院でも多くの方が妊娠、出産しておられます。



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